札幌から約50分。千歳から約50分の農業の町。

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ドッグスクールなんぽろの佐藤あすみさんと相棒のあおくん

大好きな街で、大好きな犬と暮らす幸せ。

なんぽろ人 #4

< ドッグスクールなんぽろ 佐藤あすみさん >

 その時、カメラのファインダーを覗きながら、記者の私は感嘆の声を思わず漏らしていました。

 前進する人の足の動きに合わせて、ぴったりと膝横に顔をくっつけながら寄り添って歩くボーダー・コリー。逆方向に転換すると、パッと飛び跳ねて自分も反転。もちろん顔は足から離れていません。白と黒の綺麗な毛並みが、機敏な動きに合わせて冬の陽光に輝いていました。

 南幌町東町の「ドッグスクールなんぽろ」。雪の積もったフィールドで、トレーニングの一部を見せてくれたのは同スクールのオーナー・佐藤あすみさんと相棒の「あお」くんでした。


「しつけ」は全ての基本
飼い主と犬の幸せをサポートする仕事

 佐藤さんとあおくんは、犬の障害物競技「アジリティ」のパートナー。令和4年7月に恵庭市で開かれた大会(1度ラージ部門)で優勝するなど、注目のペアです。「ドッグスクールなんぽろ」では、アジリティ出場を目指す飼い主と犬の訓練はもちろん、競技ではなく一般的な家庭でのしつけをサポートするサービスをしています。

 基本的なしつけが土台にあってこそ可能となる、飼い主と犬の綿密な連携を繰り広げるアジリティ。「しつけが全ての延長線上にある。飼い主さんとわんちゃんが仲良く幸せに暮らしていけるようにサポートするのが私の仕事です」と、スクールトレーナーとしての想いを話してくれました。

 「しつけ」というと、「体罰」や「強制」というようなイメージを持っている飼い主が多いのが現状とのこと。一方、佐藤さんにとっての「しつけ」は、飼い主と犬が信頼関係を構築し、犬が人間の環境で暮らすためのルールを覚える方法と考えています。佐藤さんは「たくさん褒めて、飼い主も犬も楽しく暮らしていけるようになってほしい」と願っているそうです。

南幌町から世界へ
アジリティ日本代表を目指す闘い

 南幌町で生まれ育った佐藤さん。子供の頃から犬好きだったけど、犬を飼っていたわけではありませんでした。近所で飼っていた犬がかわいくて通い詰め、犬小屋で一緒に眠ってしまったこともあるほど。「いつかは犬と暮らしたい」。佐藤少女が抱いた夢は、どんどん大きくなっていきました。

 南幌高校卒業後、進路は「犬関係の一択」でした。恵庭市のドッグトレーナーコースがある専門学校を経て岩手県の訓練所へ就職。アジリティ日本代表となった訓練所オーナーに師事し、警察犬やアジリティの訓練方法を学んでいきました。

 南幌町へ帰郷して、北町で「ドッグスクールなんぽろ」を開設。令和4年には東町に移転して、より充実した訓練ができる施設となりました。ドッグホテルのサービスも加わり、町内外の飼い主や犬が通う場所になっています。

 「豊かな自然があって、犬と暮らすには最高の環境がある南幌町。そんな故郷でトレーナーとして飼い主のみなさんをサポートするのが夢でした」と話す佐藤さん。あおくんとアジリティ日本代表を目指しながら、ドッグスクールのトレーナーとして活躍しています。南幌町から世界へ羽ばたく佐藤さんとあおくんの姿を、見てみたいですね。

記者も飼い主訓練体験
愛犬の変化に感動しています

 記者の私も犬の飼い主の一人。2年前に保護犬を引き取ってから、ある悩みを抱えてきました。それは、「他の家族には懐いているのに、自分だけ懐いてくれない」という問題でした。目が合えばうなられる、仕事から帰宅すると盛大に吠えられる、なでることはもちろん許されません。

 一緒に撮影に出かける相棒にしたい。そんな願いを込めてつけた「α(アルファ)」という名前は、SONYのカメラブランドの名称です。しかし、我が家に来てからの2年間、撮影はおろか散歩もろくにすることができていませんでした。現状を打開すべく、「アルファと仲良し大作戦」を決心。佐藤さんにサポートをお願いしました。

アルファ

 「ドッグスクールなんぽろ」では、犬をスクールで長期間預かってしつけの基本を身につけさせるサービスのほか、飼い主宅に出向いてしつけのポイントを教える家庭教師犬版のサービスがあります。アルファとの関係性向上を目指す私は、後者の家庭教師犬版を選択しました。

 令和5年1月にレッスンがスタート。我が家で私とアルファの様子を観察した佐藤さんのアドバイスは、まず「恐れの対象、嫌いな対象ではなくなること」でした。普段の暮らしの中で、アルファを驚かせたり叱ったりしないで、とにかく「この人は大丈夫な存在」と思ってもらえるようにすること。驚かせたり叱ったりの思い当たる節がたくさんある自分。。。

 作戦の指針となったのが、食事やおやつを与えるのは私が担当。散歩も私が極力行うものとし、とにかく接点を増やすことでした。おやつの与え方についても、関係性向上の観点からアドバイスをもらいました。

 それから仲良し大作戦が始まりました。毎朝と毎晩の散歩と、朝夕のご飯タイム。午前午後のおやつタイム。うなられながらのスタートとなりました。

 変化を感じられたのは、早くも2日目。散歩中にもおやつをあげるタイミングを増やしていたのですが、前を行くアルファがチラチラこちらを振り返るように。屋内おやつタイムでは、最大限身体を伸ばして遠くから恐る恐るくわえるアルファではありますが、それでも目を合わせてくれるようになりました。

 その後も、家庭教師は週一のペースで行われています。この原稿執筆の段階で作戦開始から1ヶ月が経過。散歩中は「おやつをもっと頂戴!」と言わんばかりに横に寄り添って歩いてくれるアルファの姿があります。屋内おやつタイムでは、なでれば触れるくらいの距離まで近づいてくれるようになりました(驚かすので触らないですが)。仕事から帰宅しても、吠えないで迎えてくれるように!(もちろん完璧ではありませんが)

 佐藤さんの的確なアドバイスを基に、天才犬アルファ(親バカ)との関係が目覚ましく向上しているのを実感しています。撮影に一緒に行くという夢が現実味を帯びてきました。雪が溶けて南幌町が緑にあふれる頃、私とアルファがリバーサイドの草原を一緒に走っているかもしれません。
(取材:令和5年2月)

【ドッグスクールなんぽろ】
住所:北海道南幌町東町
連絡先:dogschoolnanporo@gmail.com
WEB: https://www.facebook.com/profile.php?id=100057040796185