ハード系パンのイメージを変える
もっちり美味しいパン屋さん
                なんぽろスポット#9
< BoulangerieShina(ブーランジェリーシナ) >
移住者が急増し、新しい住宅が続々と建つ地域の一角にあるパン屋さん。「私たちも移住してきたんですが、こんなに増えるとは思っていませんでした」。とオーナーの志賀さん。2024年にオープンしたBoulangerieShina(ブーランジェリーシナ)は、札幌から移住してきた志賀さん夫婦が切り盛りしています。
「Shina」はアイヌ語で「結ぶ」を意味します。生産者、加工者、そしてShinaのパンを食べるみなさんの縁が結ばれていくように。その願い通り、Shinaの美味しいパンは老若男女を笑顔にし、幸せで結ばれています。

パンは生き物!
思い通りにならないところが面白い
幼い頃から食品に関心があった志賀さん。帯広農業高校の食品科学科を卒業し、札幌の製菓学校へ進学。「元々は洋菓子作りを学ぶために進学したんですが、そこでパンの面白さに出会ってしまい、そこからはパンの虜です」。
 パン作りは、酵母の中の微生物の働きによって発酵が進み、膨らみますが、気温や水温、小麦粉の状態にも左右されます。酵母が気持ちよく発酵を進めてくれるように、周辺環境を整える。逆に、環境が整っていないと発酵はうまくいきません。まさに、パンは生き物。
 「酵母の扱いはとても大変です。なんといっても気温にとても左右されるので、毎日気が抜けません。そういった意味では子育てをしているようなものですね」。と志賀さん。
毎日パンと向き合っていても、志賀さんの中で「100%上手くできた!」という日は稀だそう。「これ以上美味しくなるの?」と思うほど美味しいパンが並んでいますが、パン職人志賀さんの挑戦はまだまだ続いています。
毎日食べたくなるパンを目指す
志賀さんのパンは、ハード系が看板商品。フランスパンやカンパーニュなど、カリッと焼かれたパンが並びます。しかし、ハード系のパンは、「硬くてパサパサしている」というイメージがありませんか?志賀さん自身もそれが嫌だったそう。「僕自身、幼い頃にパンが好きだったわけじゃないんです。もっぱら米派!でも、自分がパンを作るようになって、毎日飽きずに食べられるパンってどんなパンだろうと研究を重ねるようになり、行き着いたのが今の商品たちです」。そう、志賀さんのハード系のパンは、もっちりして噛むたびに甘みを感じるパン。食べる度に幸せな気持ちにさせてくれます。
「実は、ハード系のパンはあまり人気が出ないと思っていたんです。やっぱり菓子パンや惣菜パンが喜ばれるので。でも、今ではハード系もすごく人気が出てきて、リピート購入してくれる方が増えていてとても嬉しいですね。ハード系の魅力に気づいてもらえて、パン職人としてこの上ない幸せです」。その証拠に、朝8時からオープンし、昼過ぎには種類が少なくなっています。お仕事の合間を縫って買いに来る人もいるとのこと。お目当てのパンがあるなら早めに買いに行くのが良さそうです。
筆者の子供たちも志賀さんのパンの虜になった一員。切り分けて食卓に出したものの、あっという間に無くなってしまいました。特にクロワッサンがお気に召したようで、お皿に落ちたカスさえも惜しむように食べていました。
南幌町での挑戦と展望
 札幌市から移住してきた志賀さん夫婦。元々は札幌での開業を目指していたそうです。「どうしても住居と店舗を一緒にしたかったんです。パン作りは早朝3時頃から始まるし、子供たちもまだまだ小さくて手がかかる。家と店が繋がっていないと生活が成り立たないと思っていました。でも、札幌ではなかなか見つけられなかったんです」。そこで見つけたのが、南幌町でした。
 助成金もあり、広い土地がある。まさに求めていた場所だったようです。志賀さんの奥さんは南幌町への移住が決まってから、車の免許を取得。「南幌町に行くってなったら車がなくては厳しいなと思って、急いでとりました。出来れば今でも運転はしてくないけど、それでもなんとかなってます」。
いずれは田舎暮らしをしたいと思っていたご夫婦にとっては、最良のタイミングだったのかもでしれません。
なんぽろマガジンでも紹介している、スパイスカレーCOMODOさんのカレーを使ったカレーパンも販売されています。「元々パンを買いに来てくれていたんです。そしてコラボの話を提案してくださり、私たちにとってもありがたいお話でした。惣菜パンに使う具材も自分たちで作ったり、地元の野菜を使っていきたいんですが、なかなか手が回らずに作れてなかったんです」。と、誕生したカレーパンは今では人気商品の仲間入りです。
「南幌町って、町外から来る人は通り抜けてしまうことが多いんです。そんな人たちが立ち止まりたくなるようなカフェを開きたいですね」。そこから南幌町の活性化に繋がることを願い、今日も志賀さんはパンと向き合っているのでした。
【施設情報】Boulangerie Shina(ブーランジェリーシナ)
住所   北海道空知郡南幌町東町3-1-13
電話   011-398-6745
営業時間 8:00 – 17:00
定休日 月曜日・第1・3・5日曜日
               不定休有・売り切れ次第閉店
Instagram boulangerieshina
 
					 
            





